髪結ひ辰乃の創作人形

毛植え技法による生え際の美しい人形

恩讐の彼方に

先日、澤瀉屋(おもだかや)一門の「お練り(おねり)」が浅草で行われた。

市川亀治郎さんが、四代目・市川猿之助(いちかわ えんのすけ)を襲名する。
俳優の香川照之さんが、九代目・市川中車(いちかわ ちゅうしゃ)を襲名して歌舞伎界入りし、
香川さんの長男、政明さんも五代目・市川團子(いちかわ だんこ)として歌舞伎界にデビューする。
三代目市川猿之助さんは二代目市川猿翁(いちかわ えんおう)を襲名するのだ。

香川さんは、三代目市川猿之助さんの実の子であること、
今まで色々あった事などは多くの方がご存知だと思う。
辛い経験をし、さぞや怨みつらみや絶望感があったであろう。
そのことを思うと胸が熱く苦しくなる。
しかし、彼はそれらの思いを、
強いエネルギーに変えて突き進んできたのかもしれない。

マイナスな感情は、時としてものすごいパワーをもっているようだ。
たとえば、イライラして何かに八つ当たり!なんて時には、
手当たりしだいに身の回りのモノを投げてみたり…
はぁはぁと息が切れるくらい力が出せる。

そんな大きなエネルギーを、マイナス思考のためだけに
ストレス発散として費やすなどとは、もったいない話だ。
その負のエネルギーを何か自分のやりたいことに使ってみる。
自分のために、好きなことのために、
マイナスのエネルギーをプラスのエネルギーに変換する。
負のエネルギーが大きければ大きいほど、
正のエネルギーは大きく持続する、のではないか、と思う。

市川猿之助、市川亀治郎、香川照之。お三方の姿を目にして、
昨年の襲名披露の記者会見を思い出した。

猿之助さんは「恩讐の彼方に。ありがとう。」と、心境を言葉に表した。
父子の和解ができたよ、という意味だろうか。
香川さんを突き放し、見放したことは、猿之助さんにとっても、
ある意味とても辛い選択だったのではないだろうか。
まるで、親獅子が子獅子を千尋(せんじん)の谷に突き落とし、
崖を駆け登って戻ってきた強い子だけを育てる話、
そう、歌舞伎の「連獅子」のように。

「負(不)」に走らず「正」のエネルギーの源とする。
よいことを教わった、そう思う「お練り」の一幕でした。

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テーマ:芸術・心・癒し - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2012/05/14(月) 22:00:00|
  2. 歌舞伎
  3. | コメント:2
<<櫛と簪 | ホーム | 髪結ひさん>>

コメント

こんにちは

こちらに、来てしまいました。

自分は、香川さん好きなんです。
多分、彼の持っている血に、そのマイナスのものが混ざって、魅力となっているんだろうなあ、と。

個人的には、歌舞伎界に入ってしまうのは残念やなあ、とも思うんです。
でも、この世界に、今から入るというは、本当に強いエネルギーを必要とする。
その思いというのにもエールを贈りたいとも思ったり。

自分も職人とすれば、まだまだなので、日々色々な思いもあったりするので、この「マイナスをプラスに」という話は、んんーという思いで読みました。
^^
  1. 2012/06/23(土) 00:22:13 |
  2. URL |
  3. 大阪の桐たんす職人 #-
  4. [ 編集 ]

Re:

大阪の桐たんす職人さまへ

ようこそおいでくださいました^^
コメントありがとうございます。

私も、香川さん大好きです。
「芝居が濃い」と評する人もいますが(笑)
命掛けてるぞと言わんばかりの迫真の演技で
そこがまた良いなぁと、
この方、何か持ってるものがスゴイぞ
ってずっと思ってました。

「マイナスをプラスに…」という話は、
香川さん御自身もTVで語っていらしたことがあります。
その時に、身の上の色々なことも話されてました。
強い人だな、素敵だなと感じました。

この度、襲名されて
私は涙が出るくらい嬉しかったんです。
「よかったね、本当によかったね」と
心の中で大声?あげてました。
かたやTV等の俳優業も続けるおつもりのようですね。
しばらくは、歌舞伎に精進でそれ以外は難しいかもしれませんが、
彼ならきっとTV界にも戻ってくるでしょう。


> でも、この世界に、今から入る
本当に、おっしゃる通り大変だと思います。
厳しい世界ですから、相当な覚悟が必要でしょうね。

私事ですが、
私も「この世界に、今から入る」ような年齢で
人形作りを始めましたので、鴨の水掻きの如く、
水面下ではものすごいバタ足になってます(笑)


この記事は、人形からは、いささか離れた地味な内容ですが、
どうしても自分の思いを記録したかったもので、
コメントしていただいて、とても嬉しいです。

私も「いつかは憧れの総桐たんすを!」を目標に
日々精進していきたいと思っています。
大阪の桐たんす職人さんも頑張ってくださいね。
応援しています。
  1. 2012/06/23(土) 12:36:57 |
  2. URL |
  3. 髪結ひ辰乃 #-
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

髪結ひ辰乃

Author:髪結ひ辰乃
創作人形作家。毛植え技法研究家。
毛植えによる自然な生え際が特徴のお人形です。石塑粘土による造形、着物の仕立て、日本刺繍、結髪などの制作過程も。衣裳から小物小道具までも可能な限り自作してます。
ブログには、日々の制作過程を中心に綴ってます。
ホームページもあります~♪
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=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
『辰乃の人形教室』
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※現在募集はありません。

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【2017年の出品予定】
●神奈川地区センターまつり
 2017年10月21日(土)
    .10月22日(日)
●ドールワールドリミテッド
 2017年12月3日(日)
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

【2016年の出品】
●帝都創作人形會定例展示会
「第四回帝展」
●神奈川地区センターまつり
●第3回チームコヤーラ創作人形公募展
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
【2015年の出品】
●チーム・コヤーラ主催「創作人形展 それからの人形達展」
●神奈川地区センターまつり
●帝都創作人形會定例展示会
 第三回『帝展』
●ドールアート展inうつくしま『第7回全国創作人形コンクール』
●雛のまち岩槻『創作人形公募展』

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【掲載】
人形情報誌 P.D.N の14号に、紹介記事が掲載されました。

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