人形の着物仕立ても最終回。袷着物なのに「襟つけ」を後回しにする理由

数回にわたって、お人形の着物仕立ての様子をお届けしてまいりました。
最後は、襟つけです。


身頃の襟つけ印を確認して襟丈を測り、襟布をとります。

髪結ひ辰乃の創作人形 2020


襟つけは、背縫いを中心に左右に振り分けて縫うと縫いやすいです。

待ち針を打つ時、ゆるみを入れる所と平らにする所に気を付けます。
襟肩まわりは特に細かい間隔で打ちます。
表身頃と裏身頃もまとめて縫いますので、ずれないように気を付けて。

襟肩まわりの襟布が引きつると、出来上がったときに身頃にシワが寄ってしまいます。
襟肩明き裁ち切りのカーブのところは、襟布にゆるみを持たせ小さな針目で縫います。

襟つけどまりまで縫えたら、
髪結ひ辰乃の創作人形 2020

四つ留めをして襟先を縫います
髪結ひ辰乃の創作人形 2020


襟肩明きに三つ衿芯を縫い留め、

襟布を襟巾に折り込んで、くけたら襟つけの出来上がり。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020


袷着物の襟つけは、人間の着物では表衿と表身頃、裏衿と裏身頃をそれぞれに縫い付けておいて、あとから襟をくけますが、

人形の着物の場合に同じようにすると、厚みが出過ぎて納まりが悪くなります。
そこで、単衣着物のように表襟だけで仕立てていきます。
襟布、表と裏身頃の三枚をまとめて縫えばよいので簡単ですし、胸元もすっきりした印象に仕上がります。
襟つけは後回しにしたほうが◎ということです。

髪結ひ辰乃の創作人形 2020


最後の最後に衽裾のとじをします。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020


袷着物の仕立てはこれで完成ですが
着付けのための伊達襟を作ります。
ということで、
次回は「伊達襟と着付け」の予定です。
どうぞお楽しみに♪



◆関連記事

人形の着物を縫っています「袖の仕立て・その1」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-306.html


4枚を一度に「袖の仕立て・その2 袖口下の縫いから袖の丸み」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-307.html


前へ前へ「表身頃と裏身頃」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-308.html


フキの2倍をつじつま合わせ「袷着物の裾合わせ」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-309.html


留めた糸は切らないで「四つ留めからの袖つけ」と、もさもさしないための「縦とじ」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-310.html




人間の着物と同じように仕立ててますが、
人形の着物ですので手順を変更したり、省略している部分もあります。
記事では、玉留めや返し針、アイロンがけの説明を省略している箇所もあります。
仕立ての様子をご覧いただくための記事で、仕立てを講習するテキスト的なものではありません。ご了承ください。


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2020.04.24 | コメント(0) |  そのた

留めた糸は切らないで「四つ留めからの袖つけ」と、もさもさしないための「縦とじ」

今年の人形の着物仕立ての記事も、この項で第5回になりました。
詳しい説明は省略させていただいてますが、だいたいの流れは見えてきたと思います。
(*´▽`*)

さて、袖つけですが、
袖を縫い付ける前に、下準備します。
表身頃と裏身頃の肩山を揃え、衿肩あきで背縫いを揃え、
ずれないように背縫いを中綴じしておきます。

表身頃の袖付位置を確認して、縫い代を折っておきます。

髪結ひ辰乃の創作人形 2020

表身頃と裏身頃の下身八つを合わせ
四つ留めして、留めた糸は切らずに身八つ口を縫います。


前、後の身八つ口が縫えましたら、
左右を間違えないように袖を身頃と並べます。
袖にかぶせるように見頃を返して
前後身頃の間に袖を挟むようにします。

袖つけ止まりで四つ留めをして
留めた糸は切らずに袖つけ縫いをします。

髪結ひ辰乃の創作人形 2020



袖つけが出来ましたら身頃の縦とじをします。
縦とじとは、背縫い、脇縫い、衽付のそれぞれ表と裏の縫い目を合わせて、ずれないように綴じていくことです。

髪結ひ辰乃の創作人形 2020

人形の着物の場合、この縦綴じを省略する場合もあるようですが、
綴じたほうが表と裏身頃がぴったりして、着付けた時に着物がもさもさした感じにならないのです。


縦とじが終わりましたら、
衽と裏たて褄を合わせて、たて褄ぐけします。

髪結ひ辰乃の創作人形 2020

今回の着物は、裾回しの丈を短めにしてあります。
お人形には、人間の着物を縮尺しただけでは上手くフィットしません。お人形がデフォルメされた体型の場合は、なおのこと。着付けた時、どのようにすれば納まりがよいかを考えて寸法を変えていきます。試行錯誤するのも創作の楽しみの一つです。


次回は「襟つけ」の予定です。
どうぞお楽しみに♪

◆関連記事

人形の着物を縫っています「袖の仕立て・その1」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-306.html


4枚を一度に「袖の仕立て・その2 袖口下の縫いから袖の丸み」
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前へ前へ「表身頃と裏身頃」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-308.html


フキの2倍をつじつま合わせ「袷着物の裾合わせ」
http://dolltatsuno.blog.fc2.com/blog-entry-309.html




人間の着物と同じように仕立ててますが、
人形の着物ですので手順を変更したり、省略している部分もあります。
記事では、玉留めや返し針、アイロンがけの説明を省略している箇所もあります。
仕立ての様子をご覧いただくための記事で、仕立てを講習するテキスト的なものではありません。ご了承ください。


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2020.04.17 | コメント(0) |  そのた

フキの2倍をつじつま合わせ「袷着物の裾合わせ」

いよいよ裾を縫います。

ここでまた集中力が必要です。
袷着物には「裾フキ」といって
裾回し布が表身頃より少し出るように仕立てます。
ところが、この裾フキを褄先のところではその差がゼロになるように「つじつま合わせ」をしなければなりません。

つじつまを漢字で書くと「辻褄」です。
辻は、褄下縫いと裾縫いの交点のこと、合うべきところです。裾は褄先できっかり合ってなくちゃいけない。
「つじつま合わせ」は着物仕立てが語源だったのですね。

つじつまが合わないと、いろいろ困りますね( *´艸`)がんばりましょう


表と裏を中表に合わせて
まずは衽の裾を褄先まで縫います。
褄先までくると、裏たて褄の丈が裾フキの2倍分多いので、余っています。
褄先のつじのところで表衽と裏たて褄の差がゼロになるように引き寄せてから縫います。
今回は、裾フキを多く出す仕立てなので、少し縫い詰めています。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020
画像は縫い上がって、縫い代を倒した状態です。

衽の裾が縫えましたら、身頃の裾も縫い合わせておきます。


次に、裾芯として真綿を入れます。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020
裾フキを多めにするときは
真綿を引っ張って紐状にしたものを
広げた真綿でくるんで太くします。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020

大きい裾フキのときは
褄先に、畳んだ真綿を
髪結ひ辰乃の創作人形 2020
角に合わせてピンセットで挟んで
表に返せば
髪結ひ辰乃の創作人形 2020
きっちりとふっくらと綺麗に入ります。


棒状の真綿もフキに入れたら
裾フキの出し方が同じになるように整えます。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020


綿がずれないように裾とじします。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020



髪結ひ辰乃の創作人形 2020
裾合わせが出来ました。


次回は、「袖つけ」の予定です。
どうぞお楽しみに (^^♪


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4枚を一度に「袖の仕立て・その2 袖口下の縫いから袖の丸み」
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前へ前へ「表身頃と裏身頃」
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2020.04.11 | コメント(0) |  そのた

前へ前へ「表身頃と裏身頃」

袷長着は表地と裏地がぴったりと一枚布のように仕立て上がるのが理想です。
後ろ身頃、前身頃、衽を接ぎ合せていきますので、
布が寄れたりツレたりしないように
布目をよく見て、布目を整えて、
印つけには神経を使います。

今回は、表身頃と裏身頃の縫いの様子をお届けします。



まずは表身頃(表地)。

背縫いは、後ろ身頃の襟つけ側から縫い始め裾まで縫います。
脇縫いは裾から身八つの下まで、
衽つけは裾から縫います。

縫いが終わってからアイロンで縫い代を倒していきます。
洋裁とは違い、中表に重ねたまま縫い代を折ります。
この時、縫い線から僅かに内側で折ります。
これを「キセ」「キセをかける」といいます。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020
縫い代を倒す方向は、
背縫い代は上身頃側へ
脇縫い代は前身頃側へ
衽つけは衽側へ
わたしは、「前へ前へ」と覚えておくようにしてます
(*´ー`*)


今回の仕立てでは、「つまみおくみ」といって
前身頃と衽を続けて裁ちました。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020
それぞれの縫い代分を挟んだ一枚布なので、
柄合わせが簡単に出来ました。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020
用布の柄行きによっては、上手く柄合わせにならないこともあります。
柄をぴったり合わせたい場合は別布でとります。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020



裏身頃は
裾回し布の背縫い、脇縫い、衽を縫い合わせ、
胴裏布は背縫い、脇縫いをしておきます。
縫い代は、「前へ前へ」です。

裾回しと胴裏を別々に縫い合わせたものを胴はぎして
縫い代は胴裏側へ倒します。
残しておいた裏衽を身頃と縫い合わせます。

縫い上がった表身頃と裏身頃を重ねてみて
それぞれのキセ山が合っているか確認します。
髪結ひ辰乃の創作人形 2020


次回は、「裾合わせ」の予定です。
どうぞお楽しみに (^^♪


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2020.04.03 | コメント(0) |  そのた

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プロフィール

Kazue Minematsu (髪結ひ辰乃)

Author:Kazue Minematsu (髪結ひ辰乃)
人形表現者。
毛植え技法研究家。
お人形を作っています。
お人形の自然な生え際を毛植えで表現する技法を研究しています。
ブログには人形写真やその制作過程を中心に綴ってます。
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おしらせ

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『辰乃の人形教室』
現在、募集はありません。
※新規募集時期は未定です。

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【出品予定】

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
【2019年の出品】
●横浜人形の家プチギャラリーBox展示
●チームコヤーラ
それからの人形達展
●ドールワールドフェスティバル
●神奈川地区センターまつり
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
【2018年の出品】
●神奈川地区センターまつり
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
【2017年の出品】
●ドールワールドリミテッド
●神奈川地区センターまつり
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
【2016年の出品】
●帝都創作人形會定例展示会
「第四回帝展」
●神奈川地区センターまつり
●第3回チームコヤーラ創作人形公募展
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
【2015年の出品】
●チーム・コヤーラ主催「創作人形展 それからの人形達展」
●神奈川地区センターまつり
●帝都創作人形會定例展示会
 第三回『帝展』
●ドールアート展inうつくしま『第7回全国創作人形コンクール』
●雛のまち岩槻『創作人形公募展』

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【掲載】
人形情報誌 P.D.N の14号に、紹介記事が掲載されました。

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